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ニュース

日本の投資家が中国で工場の賃貸をする際の 重要な問題と起こりやすい問題及びリスクの提示

近年多くの日本投資家が中国に投資を行っているが、2020年1月1日『中華人民共和国外商投資法』の実施に伴い、中国の外商投資条件は更に緩和され、ますます多くの日本の投資家が中国に投資にすることになるだろう。投資の過程でまず解決しなければならないのは工場の問題であり、広東深天成弁護士事務所の弁護士は以前担当したケースから工場の賃貸の過程の中で注意をすべき重要な問題に対して、発生しやすい問題とリスクを提示することにより日本の投資家が投資の過程においての法的リスクに対応し、軽減をできるようサポートをしたいと考えている。

一、賃貸人の属性、信用状況及び工場の所有権の帰属

工場を賃貸する際まず注意しなければならないのは賃貸人の属性である。国有主体、株式合作会社、会社法人または自然人かどうかに注意しなければならない。異なる属性に対しそれぞれ起こりやすい問題に注意する。

(一)賃貸人が国有である場合、国有不動産の不動産管理部門が賃貸契約の主体になることが多い。この際に賃借人が注意しなければならないのは、不動産管理部が既に賃貸の授権書を取得しているかどうかである。また賃貸料及び敷金を支払う際、賃借人は契約書を締結する際の主体と賃料の受け取りの主体が一致しているか特に注意しなければならない。もし一致しない場合は賃貸人に署名のある支払説明文書を提供するよう要求し、賃貸期間中に従業員がこの規則の弱点を利用し私利を図り、賃貸側の利益を損なうことを避ける必要がある。

例えば、深天成弁護士がサービスを提供する深セン市宝安区にある某企業のクライアントの場合、賃貸をする工場の所有権は国有であるが、工場の賃貸時に敷金の支払いが賃貸側の銀行口座ではなく、また有効な説明文書を取得していなかった。そのため貸出側の従業員がその職位と権利及び支払いの規則の弱点を利用し、敷金を自分のものにするなどしこのクライアントに重大な損失を与えてしまった。

(二)賃貸人が地域を一つの単位とした株式合作会社の場合、深センの現在の状況から見ると多くの不動産は財産権証書を所得しておらず、この不動産が会社の工商登記をする場合、実際の手続きにおいて何らかの支障を来す可能性がある。この時、賃借人は賃貸契約書で賃貸人がこの不動産は会社の工商登記を行う上で支障がないことを保証し、また関連する手続きの協力をするという内容が明記されているかを注意しなければならない。また賃貸人が転貸する不動産に対し、賃借人は慎重に選択をしなければならず、不動産の規定や政策を詳細に理解してから賃借をし、規定違反により賃貸契約が無効になることを防ぎ、損失を被らないようにしなければならない。例えば、深セン市宝安区は株式合作会社の転貸用途、転貸比率等に厳格な制限があり、株式合作会社の大口不動産転貸は産業科学技術園区、産業孵化器(インキュベーター)、文化創意園区または双創空間などの産業形態を計画建設するために使用しなければならない。面積が5000平方メートル未満の場合、賃借人が自分で使う不動産の面積は70%を超えなければならず、転貸不動産の面積は30%を超えてはいけない。

また、賃借人も上記第 一条第(一)項の支払注意事項を参照して、契約を締結する主体と賃料の受け取りをする主体が一致するようにしなければならない。

(三)賃貸人が会社法人の場合、賃貸契約書にこの賃貸行為は会社の行為である(例:既に株主総会で決議されている/董事会で審議されている)ことが記載されていなければならず、問題が発生した場合、会社が負うべき法的責任を個人に追及することは難しい。

(四)賃貸人自然人である場合、賃借人の安定した持続可能性を考慮して、自然人が過去に多くの訴訟案件がなかったか、および被執行者または信用失墜被執行者ではないかを確認しなければならない。賃貸人自身の自己信用状況を判断し、将来的に賃貸人の道徳的な信用喪失による違約のリスクを事前に見積もるとともに、賃借後に執行のために賃貸契約終止となり賃借人に損失を与えることを防ぐ。

もし自然人の不動産が財産権の証明書を得ていない場合、不動産は収用、徴用、立ち退きとなるリスクがあり、賃貸リスクを予測することができないため、賃借人は慎重に考慮し、出来る限り賃借しないことをお勧めする。

二、不動産の所有権の帰属を更に精査する

賃借人は工場の敷地の所有権の帰属の情報を確認し、賃貸人は工場の敷地の完全な処分権を持っているかどうかを判断しなければならない。もし賃貸人が建物の所有者である場合、賃借者は財産権証書の提供を要求しなければならない。もし賃貸人が非有権者である場合,貸与権がある証明書の発行を要求しなければならない。例えば賃借人が二次転貸をした不動産は、一次賃貸契約書の中で転貸を禁止する規定が取り決められてないか、既に権利者の転貸行為に対する同意を得ているかどうか、一次賃貸期限は二次転貸の賃貸期限をカバーできるかを確認し、不動産権利証書を所得しなければならない。関連する不動産権利証書またはその他証明文書、一次賃貸契約書等は、賃貸契約の添付文書とすべきである。不動産権証またはその他の証明書類、リース契約書などは、リース契約の付属品としなければならない。

契約書の締結をする前に賃借人は賃貸人に不動産登記部門が印刷した不動産情報照会表の提供、または賃貸人と一緒に不動産登記部門に行き印刷をすることを要求し、再度工場の不動産所有者の情報を確認しまた工場が差し押さえられていないか、担保にされていないかの確認をする。もし工場が貸出前に既に裁判所に差し押さえられているまたは担保にされている場合、裁判所がこの建物に対し執行するまたは抵当権利者が抵当権を行使すると賃貸契約が終止されてしまうため、賃借人に予測ができない損失をもたらすことになるので注意しなければならない。

三、賃貸期限及び賃料、敷金

賃借人は工場を賃借する場合、事前に対象の工場所在地周辺の同類の工場の市場賃貸価格及び近年の賃貸価格の上昇の状況を調査し、賃貸人との交渉で価格を決定する際に価格のボトムラインとすることをお勧めする。

賃料支払いの規定で賃料の支払時期,支払方式,特に保証金,敷金の支払いと払い戻しの条件と時間を明確にしなければならない。賃貸期間が比較的長い場合、契約書上で賃料調整の方法を明確にする必要がある。同時に契約書上で不可抗力または工場の土地が徴収、収用されるなど賃貸人の原因ではなく賃借物が使用できなくなった場合の処理案を明らかにしなければならない。工場の建物、土地が徴収収用された場合には、立退き対象者への補償、操業停止補助金及び賃借人が建設した付属施設、建築物、構築物、増設附属施設に対する補償等が発生する可能性がある。双方は契約書でこの補償費用の帰属及び賃料の減免及び返還事項を明確にするべきである。

賃貸の開始終了の時期は具体的に明確にするべきであり、賃貸の期限は二十年を超えるべきでない。『中華人民共和国契約法』の関連規定によると賃貸期限は二十年を超えてはならず、二十年を超えた部分は無効になるとしている。現在中国の都市建設の速度はとても早く、一部の地区の不動産の価格は都市建設の計画が原因で価格の上昇幅が比較的大きく、一部の貸出人は利益を大きく出すために、契約に違反する形で契約を早めに終止させ、価格を別の賃借人に貸出をすることがある。したがって賃借人は賃貸契約書でもし賃貸人が理由なく契約終止する場合、比較的高い違約金と賃借人が想定する損失の賠償金を支払わなければならないことを取り決めることをお勧めする。

四、水、電気、ガス、不動産管理費、汚染物質排出費等の基準

現在一部の賃貸人が悪意をもって水、電気、ガス、不動産管理費、汚染物質排出費等の基準を上げる事実から、賃借人は賃借の前に建物の所在地の政府が交付した各種の料金標準を確認し賃貸人と協議の際の根拠とし、公正な価格を確定することを提案する。例えば深セン市では大量/高需要の商業用電気料金の基準は:ピーク時間帯が0.85-1.05元/度、平常時0.55―0.7元/度;低い時間帯が0.17―0.25元/度である。深セン市宝安区の工業汚水処理費は1.05元/立方メートルである。賃貸契約を締結する前に、賃借人は賃貸人と水、電気、ガス、不動産管理費、汚染物質排出費等の費用の基準を明確にし、契約書の締結の際にきちんと契約書の条項を確認し、取り決めの内容が不明確、概念のすり替えや曖昧な表現等による後続トラブルを避けなければならない。

深天成弁護士がサービスを提供する広東省恵州市にある会社制のクライアントは、賃貸人が勝手に電気の価格を上げたため、クライアントの工場使用コストが上がり、これにより毎月余分に5万元―6万元支出することになってしまった。

五、改装の申請と許可及び原状回復などの義務の負担

建物の改装には一定期間の時間が必要であり、また申請と許可、審査認可手続きが必要になる可能性がある。もし賃貸人が履行することを決定する場合、改装の期限、申請の義務の主体及び不履行の場合の責任を明確にしなければならない。賃貸期間が満了後、賃借人が改装物を撤去できるかどうか、撤去後原状回復の義務はどちらが負担するかの問題、及び賃貸契約終了後に一部撤去のできない部分の割引補償費等全てを約定する必要がある。

深天成の弁護士がサービスを提供する深セン市宝安区にある会社制のクライアントは、工場の「原状回復」事項を明確に約定しなかったため、工場の移転時に2ヶ月分の家賃の回復費用を余分に支払わなければならなくなった。

六、工場建物の補修義務

賃借人は実際状況に応じて、工場補修の義務の主体を明確にする必要があるかどうかを考慮することができる。『中華人民共和国契約法』の規定に基づき、明確な約束がない場合には、賃貸人が補修義務を負うことになっている。賃貸人が補修義務を履行しない場合は、賃借人が自ら補修し、補修費用は賃貸人に負担させることができる。賃貸借物件の修理により賃借者の物件の使用に影響を及ぼされる場合は、状況に応じて賃料を減らす、または賃借期間を延長しなければならない。もし賃貸人が補修義務を負担することを約定した場合には、補修の際の連絡先、連絡人、対応速度、費用等について詳細に約定しなければならない。また,賃借人に補修義務の履行を促し,損害を適切に補うために,補修の不利な場合の違約金,賠償金,損失計算方法を約束しなければならない。

七、消防環境保護責任

賃借人は工場建物の消防検収が通過した書類を確認し、賃貸契約書で工場が既に消防検収に合格し、消防検収に合格していない場合の責任、違約金及び合格していないことにより賃借人に与える損失は賃貸人が負担することを明記しなければならない。

工場の賃貸時にその工場が既に関連工事の建設工程を完了しているか検証すべきである。賃借人はこの建設項目は既に環境アセスメントを取得したかどうか、環境アセスメントの建設工程は会社の実際の業種、生産能力等に適合しているかを検証すべきである。深天成の弁護士がサービスを提供する広東省恵州市にある某会社制のクライアントは、賃貸前に弁護士サービスを利用しておらず、賃貸契約の約定が明確ではなく現在工場を賃貸契約し約9カ月が経っている現在も賃貸人が原因で環境保護の検収が通過せず操業開始ができず巨大な損失を被った。

八、工場の売却及び譲渡

現行の法律では、“賃貸期間中に賃貸の目的物の販売があったとしても賃貸契約に影響を与えない”、“賃借人に優先的に購入権が与えられる”という規定があるが、実際は双方で具体的に約定するため、賃借人は賃貸契約書に債権者が賃貸の目的物を販売する際に事前告知義務、権利保障、損害賠償の記載があるか確認する、または追記すべきである。もし賃借人に購入の意思がある場合は、契約書上で優先購入権の具体的な行使条件と手順を明記することを提案する。

工場の引き渡しと返還

賃借人は賃貸契約書で工場の引き渡しをする時間、賃貸人が引き渡しを遅延した際の賃借人は契約解除権及び賃貸人の違約責任を明記すべきである。紛争を避けるため、もし工場に重要な設備背施設がある場合、引き渡し明細書を作成し双方で署名し、工場の返還の際は双方が署名した引き渡し書を基準とする。


 
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